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内閣府が推奨する「経営デザインシート」の作成ポイントと方法

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内閣府の知的財産戦略推進事務局が2018年5月にリリースした「経営デザインシート」。旧来型の「モノを作るだけで売り上げを出せていた時代」から、現代型の「顧客ニーズに見合った商材だけが売れる時代」に合わせてビジネスモデルを転換するために、国が作成したフレームワークです。Bizmapでは全3回に分けて「経営デザインシート」について連載しています。

第1回の記事ではシートが生まれた背景や、概要をご紹介しました。

今回は「経営デザインシートの使い方」をご紹介します。現状のビジネスモデルを打破し、新たな戦略を練ることを考えている方はぜひご覧ください。


 
 

経営デザインシートは「対話型」で進める

経営デザインシートの目的は作成しながら「現事業の不足点」や「効果的な新事業」を見出すことです。そのため決して個人で取り組んではいけません。経営者を軸に社員や外部パートナーと連携しながら描き進めましょう。

そのなかで「(自社の製品に頼っていた)これまで」の自社のビジネスモデルを見直すとともに「(顧客のニーズをベースにした)これから」のビジネスモデルを見つけて戦略を練ることが求められます。事業の承継をする際に、経営者と後継者で作成することでスムーズに引き継げるのもメリットです。
 
 

5+1のポイントを守って作成する

作成するポイントとして知的財産戦略推進事務局は「書けることから記載すること」「項目を埋めることではなく、会社のこれからの構想・実現を目的にすること」「構想は見える化するだけでなく磨き上げること」「財務的な裏付けには配慮するが、こだわり過ぎないこと」「情報公開の範囲に注意すること」の5点を挙げています。

個人的には「意見の多様性を肯定すること」が追加されると感じています。イノベーションが叫ばれて久しい現在、いまだに旧来型のビジネスを展開している会社はかなり保守的である可能性が高いからです。社員からの斬新な提案を受け入れることから議論はスタートします。どこかでビジネスモデルに革命を起こさねば会社自体が市場から置いていかれるので、あらゆる意見を認めましょう
 
 

経営デザインシートの作成方法

では経営デザインシートの書き方をご紹介しましょう。シートには「全社用」「事業用」「事業が1つの全社用」の3つの種類があります。ポイントでも書きましたが、埋める順番は自由で結構です。
 

1. 全社用の書き方について

例)内閣府 知的財産戦略推進事務局.「経営デザインシート」― 経営をデザインする ―, 8p.
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/keiei_design/siryou01.pdf
 
全てのベースとなるのが「自社の目的と特徴」です。ここには企業理念や価値観、解決を目指している社会的な課題などが入ります。また「経営方針」も同じく軸になる要素です。経営方針には全社目標や具体的なKPIなどが入ります。

その後「これまで」のリソースとポートフォリオ、提供価値を埋めましょう。先に「これまで」の項目を埋めることで、より「これから」のモデルが鮮明になることが予想されます。リソースとポートフォリオには「自社の強み」の欄があります。考え方を変えることで強みも変わるので、俯瞰的に分析することが必要です。また提供価値の下層には「提供先から得たもの」が入ります。顧客データなどの無形資産を加えることがポイントです。

「これまで」の枠には「外部環境」と「弱み」もあります。データが乏しくても客観的に見て判断しましょう。その後「これからの外部環境」を予想したうえで「これからの姿に生まれ変わるうえでの課題」「課題を解決する方法と必要なリソース」を記します。

ここまで書けたら「これから」のリソースとポートフォリオ、提供価値を記載します。「これまで」との変化を分かりやすく記載することで「顧客ニーズを満たすこと」を軸にしたまったく新しいビジネスモデルが完成するという仕組みです。
 
 

2. 事業用の書き方について

例)内閣府 知的財産戦略推進事務局.「経営デザインシート」― 経営をデザインする ―, 9p.
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/keiei_design/siryou01.pdf
 
続いて事業単体での経営デザインシートの書き方をご紹介します。

ここで軸になるのは「事業の概要」です。誰にどのような価値を届けているのか、そのKPIまでを記載しましょう。また「経営方針との関係性」も埋めることで、事業が経営に対して発揮する意義を俯瞰的に見直せます。

その後「これまで」の項目に移りましょう。「事業での主要な資源」と「ビジネスモデル」「提供している価値」を埋めます。自社の事業をある程度、俯瞰的に分析できるでしょう。顧客のニーズを無視している部分を見つけるのが目的の1つです。注意深く、客観的に書いていかなければいけません。

あとは全社用と同じように「現状の外部環境と弱み」を記します。これからの外部環境を予想し、直面することが予想される困難と解決するためのリソースを記しましょう。最後に「これから」の「事業での主要な資源」と「ビジネスモデル」「提供している価値」を記載すれば完成です。
 
 

3. 「事業が1つの企業用」の書き方

例)内閣府 知的財産戦略推進事務局.「経営デザインシート」― 経営をデザインする ―, 10p.
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/keiei_design/siryou01.pdf
 
単体の事業で経営を進めている会社の場合は、事業そのものが会社を支えていると言っても過言ではありません。フレームワークの項目も事業用とほぼ同じになります。異なっているのはベースになる部分だけです。

会社と事業の両方のモデルを軸に分析する必要があります。なのでベースに「自社の目的と特徴、事業内容」と「経営方針」の両方を記載しましょう。その後の流れは事業用とまったく同じです。「これまで」と「これから」の違いが鮮明に分かるように記載することで、現代的なビジネスモデルが完成します。
 
 

より詳細に分析するためにフレームワークを活用

国が公にフレームワークを発表したことで、これまでビジネスの方向を変えなかった企業もイノベーションに興味が湧くことでしょう。また危機感も抱くと思います。「経営デザインシート」を駆使することで、大枠でのビジネスモデルは転換は可能です。

しかしより「詳細なビジネスモデルを策定したい」と考えている方もいらっしゃることでしょう。確かに経営デザインシートでも大枠のビジネスモデルは転換できますが、ターゲットやコスト、チャネルなどを細かく記載する欄はありません。また顧客のインサイトを論理的に分析できないのもデメリットです。さらに「外部環境」と一言で言ってもさまざまな種類があります。予期せぬ事態に備えるという意味では足りない部分もあるでしょう。

そこで最終回である第3回では、より詳細なビジネスモデルを策定するためのフレームワークをご紹介します。ご興味がある方は、ぜひご覧ください。

 


ビジネスモデルキャンバス

 
 

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