ジョブ理論(Jobs-To-Be-Done)とは

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ジョブ理論とは?

ジョブ理論は、プロダクトやサービスを展開するうえで、顧客のニーズをロジカルに掴むために有用な手段です。ジョブ理論で重要視されるのが「ジョブ」という要素。ユーザーはサービスやプロダクト、アプリケーションなどを利用するときに、必ず「成し遂げたい目的」があります。ジョブ理論ではその目的を「ジョブ」と位置付けて、ニーズを探っているのです。

簡単に要約すると「人が商品やサービスを買う行為の背後にあるメカニズムを、論理的に説明するための理論」だといえるでしょう。「顧客はどのようなモノやサービスを欲しているのか」「顧客のニーズに応えるために、自社のサービスやプロダクトをどのようにアップグレードすればいいのか」など事業の安定化を図るうえで大切なヒントを探し出せます。

ジョブ理論を発表したのは「破壊的イノベーション」や「イノベーションのジレンマ」などで有名なビジネス界の雄、クレイトン・クリステンセン教授です。まず彼の経歴からご紹介していきましょう。

 
 

クレイトン・クリステンセン教授の経歴

クレイトン・クリステンセン教授はブリガムヤング大学の経済学部を首席で卒業した後、コンサルタントやアメリカ運輸庁長官などを手がけ、ハーバード大学が経営する大学院「ハーバード・ビジネス・スクール」の教員を担当しました。ビジネスのトレンドに対する感度の高さ、理論の完成度が評価され「ハーバード・ビジネス・レビュー誌」に掲載された論文の最高位に贈られる「マッキンゼー賞」を数回受賞。また最も影響力のある経営思想家トップ50を隔年で選出する「THINKERS50」の頂点に3年連続で選出。その手腕を生かして、イノベーションに特化した経営コンサルティング会社を運営しています。

理論・実践・実績に優れた経営思想家であり「ジョブ理論」は特に高評価を得ているため、多くの起業家・経営者が「ジョブ理論」の考え方を実際の経営に取り入れています。日本でも多くの起業家やマーケッターなどが絶賛しており「ビジネスの定石」を作り続ける人物といっても過言ではないでしょう。

 
 

頭に入れておきたい
「ジョブ理論の基本構造」を要約

そんなクリステンセン教授が”発明”した「ジョブ理論」は、彼の著作を皮切りにあらゆる解釈本が出ていますが、基本的な構造は同じです。以下にジョブ理論の要約を箇条書きで掲載します。ジョブマップなどのフレームワークを作って自社に取り入れることを考えている方は、基本構造を頭に入れておきましょう。

 

ジョブ理論の基本構造 その1

「ある特定のシチュエーションで人(顧客)が成し遂げたい進歩を“ジョブ”と呼ぶ」
顧客には必ず「ジョブ」が付随します。だから「顧客」を単位として数えるのではなく「ジョブ」にフォーカスすることこそが重要なのです。人はジョブを解消することで快感を得ます。例えばあなたが大事なデートを控えているとしたら「オシャレな服装と髪型を整えたい」といったジョブが生まれるでしょう。

 

ジョブ理論の基本構造 その2

ジョブを進める手段として、人は特定の製品やサービスを消費する。その行為を「雇う(ハイア)」と呼ぶ
「消費する」ではなく「雇う」と呼ぶことで「ジョブ」を理解しやすくなるでしょう。全てのサービスは「与えるもの」ではなく「利用してもらうもの」です。

 

ジョブ理論の基本構造 その3

ジョブは、顧客が商品・サービスを購入するかどうかの判断材料である。よって、顧客の置かれた状況により、雇う製品は左右される
当然だと感じるかもしれませんが、あらためて頭に入れておきましょう。顧客のニーズが先にあって、企業はそのニーズを埋めるサービスやプロダクトをローンチしなければいけません。

 

ジョブ理論の基本構造 その4

ジョブは機能的な側面だけを持っているわけではない。達成することによる感情的や社会的なご褒美がある
例えば食事をすることは「空腹状態を解消する」という機能的な側面があります。その要素を追求するならば、口に入ればなんでもいいはずです。しかし顧客にとっての満足は機能的側面だけではありません。
従業員のホスピタリティーに優れている場所で食べると「うれしい」。これは感情的側面ですよね。おしゃれなカフェで食べてSNSに投稿して「いいね」をたくさん集めると「センスがある人間だと思ってもらえる」。これは社会的な側面でしょう。

 
 

「ジョブ理論の実例」をご紹介

では「ジョブ理論」を用いて売り上げを伸ばした事例をご紹介しましょう。「ジョブ理論」関連のメディアや記事をご覧になっている方には釈迦に説法でしょうが、有名な事例に「とあるミルクシェイク店の物語」が有ります。

とあるファストフード企業で「ミルクシェイクの売上を拡大する」というミッションがありました。そのファストフード店は、はじめに「さまざまなフレーバーを追加」しましたが、コストがかさんだだけで売り上げは伸びません。そこでミルクシェイクのニーズを調査するために市場調査を実施し、購入者属性を整理。セグメント化して地域別に販売するも、やはり売り上げはいまいち。そこでアンケート調査を実施したところ「安い」や「美味しい」などの結果が返ってきたので「味」や「値段」「量」を指標にミルクシェイクの調査を重ね、製品に反映しました。それでも売れ行きは変わりません。

そこでジョブ理論を採用し、実際に購入者の動向を観察してインタビューをしました。来店客の生活に起こったどのような「ジョブ」が、彼らを店に向かわせ、ミルクシェイクを購入させているのかを分析したのです。すると主に以下のような返答がありました。

平日の朝の購買層は「通勤の退屈しのぎ」と「腹持ちの良い、手が汚れない間食」としてミルクシェイクを雇っていること

休日の購買層は、子どもを喜ばせる(優しい父親と思われる)ためにミルクシェイクを雇っていること

なんと購入者は味や値段には重きを置いていなかったのです。この調査結果をもとに、プロジェクトチームはフレーバーをシンプルにして、長持ちするどろっとしたシェークを開発。するとたちまち売上は改善しました。「顧客のジョブ」の観点からニーズに当てはまる製品を作り出すことに成功したのです。

 
 

ジョブ理論を用いることで

経営の神様と言われるピーター・ドラッカーは「企業が考えるニーズと、実際の顧客ニーズは、基本的に乖離している」と言っています。ジョブ理論はまさにこうした「ニーズのずれ」を解消するために役立つ考え方でしょう。

顧客の満たされていないジョブを把握すると、既存サービスに足りていない部分が明らかになります。サービスやプロダクトなどのブラッシュアップや新規サービスのローンチをお考えの方は「ジョブ理論」を駆使してください。きっとヒントを見つけられるでしょう。

「ジョブ理論」をフレームワークを使って体系化する際におすすめなのが「ジョブマップ」です。機能的側面はもちろん、感情的、社会的側面などの項目から多角的に顧客の「ニーズ」を探れます。またA4用紙一枚でプロジェクトメンバーや上層部にシェアできるのもメリット。個人のビジネスアイディアを具現化するのにうってつけのツールです。

さらに「ジョブマップ」を用いてジョブ理論を体系化した後は「ビジネスモデルキャンバス」や「バリュープロポジションキャンバス」などのフレームワークを併用して、事業のビジネスモデルに落とし込みましょう。「ジョブ理論」との親和性が高いため、ニーズを加味したビジネスモデルをスムーズに作成できます。

「ジョブ理論」でニーズを把握して「バリュープロポジションキャンバス」で顧客のニーズと製品・サービスのズレをなくし「ビジネスモデルキャンバス」でビジネスモデル全般を俯瞰することで、あなたのビジネスはより成功に近づきます。

 

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